ゴミ分別との戦い
ヨーロッパから日本に帰るたびに思う。一体、ゴミの分別はどこまで徹底すればよいのだろうか?
ゴミは一般に地方自治体によっては30種類にも分けているらしいが、実家のある三鷹市は、結構、力が入っている。
月曜が古紙と古着、火曜が燃えるゴミ、一週目と三週目の水曜がペットボトル、二週目と四週目の水曜が空き瓶・空き缶・燃えないゴミ、木曜がプラスチック類と有害ゴミ、金曜が燃えるゴミ。
うーん、古いゴム製長靴は燃えないゴミ、それとも有害ゴミ? 貝殻は燃えるゴミ、燃えないゴミ?(答え:燃えるそうです)
親切なことに、三鷹市では「ゴミカレンダー」を配布している。
これを見なければ、どの日か覚えていられない。
分別ゴミは朝、8時までに規定どおりに分別して出すこととある。
しかもきちんと束ねたり梱包したりしないかぎり、ゴミは収集されず、おきざりになる。
古着は、「雨の降りそうな日には出さないこと」とある。
前の夜からゴミを出すことなどご法度。私は三鷹の住民に同情せざるをえない。
日本の勤務体系を考えると、多忙な人の家は、出し忘れでゴミだらけになる。
律儀な人であれば、「明日のゴミは」と考えつつ、眠い目をこすりながら分別する、厳しい作業となりはしないか。
「ゴミ先進国」であるドイツではさぞ分別が徹底していると信じている方には恐縮だが、わがアパートには三種類のプラスチックの容器があるのみ。
野菜くずなどのバイオ・ゴミ(これは臭くなるので住宅が密集している街中で実行している人は少数)、古紙(束ねずに自由に捨てられる)、そして「その他のゴミ」に分かれているのみ。電池、アルミ、プラスチック、そして空き瓶は、透明、緑、茶色だけに分けて近くの路上コンテナーや店の特別の箱に持っていくこともあるが、「その他のゴミ」に入れてしまうこともある(すみません!)。
もちろん、24時間、捨て放題。
分別は、ミュンヘン市当局のごみ処理場で行われる。
粗大ゴミはどうするのか。
車で5分のところに巨大なコンテナーが10個ほど置いてあって、どんどん捨てることができる。
先日も古いCDプレーヤー、折りたたみ椅子、ランプや古着を思う存分、捨ててきた。
ちなみに日本人は市民一人につき、ドイツ人の3倍のゴミを出すという。
日本の一般ゴミの年間焼却量だけで、使い捨て社会のアメリカの12倍に相当するゴミを燃やしているそうだ。
ゴミの分別をする前に、包装紙やパッケージなどを減らすべきではないだろうか。
(文・福田直子、絵・熊谷徹)筆者ホームページ http://www.tkumagai.de